三界の構造

三界とは

三界(サンガイ)欲界(ヨクカイ)色界(シキカイ)無色界(ムシキカイ)の三つの世界のこと。

欲界

欲界は地獄界餓鬼界畜生界人界六欲天(ロクヨクテン)までの五処を指す。
欲界の「欲」には四種類が有る。一つは情欲、二つは色欲、三つは食欲。四つは婬欲。この四つの欲が備わって有り、ほかのどの欲よりも色欲が薄いので、欲界という。

色界

色界は色天ともいう。色界は欲界の四種の欲の内、婬欲、食欲を断じているが、情欲と色欲は存在する。婬欲が無いので男女の区別が無く、食欲が無い代わりに禅定の楽を食とする。色界は色欲が強く情欲が薄いので、色界という。

無色界

無色界は無色天のことを指す。無色界の衆生には形体が無く、ただ識神と情欲のみ存在する。無色界は色欲と絶して情欲もまた薄いの、無色界という。


地獄界

地獄は八種類ある。

等活地獄 トウカツジゴク
黒縄地獄 コクジョウジゴク
衆合地獄 シュゴウジゴク
叫喚地獄 キョウカンジゴク
大叫喚地獄 ダイキョウカンジゴク
焦熱地獄 ショウネツジゴク
大焦熱地獄 ダイショウネツジゴク
無間地獄 別名 阿鼻地獄 ムケンジゴク・アビジゴク

問い:地獄は何処に在るのか。答え:多分はこの閻浮堤の下に在る。問:どのように安立しているのか。答:有る説によると、此の洲より四万踰繕那(ユゼンナ)下に 至って無間地獄の底に着く。_と。
無間地獄は縦広・高下は各二万踰繕那あり、その上の一万九千踰繕那の中に余の七地獄が安立する。つまりその上に大焦熱地獄 があって、その上に焦熱地獄が あって、その上に大叫喚地獄が あって、その上に叫喚地獄 がって、その上に衆合地獄があって、その上に黒繩地獄があって、その上に等活地獄が ある。-新婆沙論-

また、地獄は「不自在」という名もある。彼の罪人は獄卒に捉えられて束縛され、自在を得ることができない。故に地獄は「不自在」と名でもある。また「不可愛樂」とも名づけられる。
又地獄の「地」は底という意味がある。万物の中でも「地」が最も下の底に在り、地獄も地下深くに存在するが故に、「地」に「底」という意味がある。
「獄」は局である。局に拘束されて自在を得ることができない。故に「地獄」と名づけられる。-婆沙論-

 

餓鬼界

腹の大きいこと、大山の如し。咽の細いこと、針の如し。 百千歳、水の滴る音を聞くことがない。悪物や不浄を食する。或いは無食である。飢渇の見舞われて苦悩を受ける。

餓鬼の住む場所は二種類有る。

一 人間界に住む者
人間界に住む鬼は夜に行動し、昼に伏す。人間とその行いが逆である。故に人が夜出歩いていると希に見つけることがある。霊といわれる類。 俗にいう心霊現象が夜に多く起こるのはこのため。

二 餓鬼世界に住む者
餓鬼世界は閻浮提の地下五百由旬の所に三万六千由旬の長さで存在し、閻羅王の統領になっている。余の餓鬼悪道も眷属として、其の数は無量で、悪業は甚だ多い。

餓鬼には無量の種類がある。行因が等しくないため、報いの受け方もそれぞれ別である。
針口餓鬼・食吐餓鬼・食糞餓鬼・無食餓鬼・食気餓鬼・食水餓鬼・食唾餓鬼・食鬘餓鬼・食血餓鬼・食肉餓鬼・食香烟餓鬼 ・地下餓鬼・神通餓鬼・ 閻羅王の使い、執杖餓鬼・食小児餓鬼・食人精気餓鬼・羅刹餓鬼・不浄巷陌餓鬼・食風餓鬼・食火炭餓鬼・食毒餓鬼・塚間住食熱灰土餓鬼・交道餓鬼・殺身餓鬼などなど。
 

畜生

畜生は動物の類。六道の中でも、畜生の種類が最も多い。
畜生の「畜」は畜養の畜であり、「生」は衆生の生を意味する。所謂(いわゆる)動物の行いは愚痴であり、自立することができない。そのため他の畜養とされる。故に「畜生」と名づけられる。-婆沙論-
畜生はそれぞれの個体が不同で大きく分けて三種ある。一、魚。二、鳥。三、獣。此の三つの中に於いて一一に無量の種類がある。-楼炭経-

場所 種類 種数
水行 魚など 六千四百種
陸行 象、馬、 牛、 羊、 鹿、 猪、など 二千四百種
空行 鳥など 四千五百種


この地獄道、餓鬼道、畜生道をまとめて三悪道という。

阿修羅界

阿修羅は須弥山の側、大海に底に宮殿を持って住んでいる。其の身は甚だ長大で、諸天と闘争を起こす。
阿修羅には二種が有る。一つは鬼道の所摂の阿修羅。二つは畜生の所摂の阿修羅。

また阿修羅は天と等しき楽を受けるが、嫉妬・諂曲の性は人には及ばない。常に天を負かそうと欲する。故に阿修羅は悪道に含まれる。
この地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道をまとめて四悪道ともいう。


人間界

人が住む場所は、四大洲に分けられる。

名称 読み 位置 広さ 寿命 身長 地形
欝単越 ウツタンノツ 一万由旬 定めて千歳 七肘 正方形のような形。
弗婆堤 ホツバダイ 九千由旬 長くて三百歳 三肘半 満月のような形。
瞿陀尼 クダニ 西 八千由旬 長くて二百歳 三肘半 東が狭く、西が広い。半月のような形。
閻浮堤 エンブダイ 由旬 長くて百歳 三肘半 北が広く南が狭い。逆三角形のような形。

この四大洲は四天下ともいう。

 

天上界

天上界は大きく三つの階層に分けられる。欲天、色天、無色天。

区分 天名 読み 寿命
無色天   非想非非想天 ヒソウヒヒソウテン 八万四千劫
無所有処天 ムショウショテン 四万二千劫
識無辺処天 シキムヘンジョテン 二万一千劫
空無辺処天 クウムヘンジョテン 一万劫
色天 四禅天

浄居天

色究竟天

シキクキョウテン

五千劫
善見天 ゼンケンテン 四千劫
善現天 ゼンゲンテン 三千劫
無熱天 ムネツテン 二千劫
無煩天 ムボンテン 千劫
無想天 ムソウテン 五百劫
広果天 コウカテン 八劫
福生天 フクショウテン
無雲天 ムウンテン
三禅天 光音天 コウオンテン 四劫
無量光天 ムリョウコウテン
少光天 ショウコウテン
二禅天 遍浄天 ヘンジョウテン 二劫
無量浄天 ムリョウジョウテン
少浄天 ショウジョウテン
初禅天 大梵天 ダイボンテン 一劫
梵輔天 ボンポテン
梵衆天 ボンシュテン

欲天

六欲天 他化自在天 タケジザイテン 六千歳
化楽天 ケラクテン 八千歳
兜率天 トソツテン 四千歳
夜摩天 ヤマテン 二千歳
トウ利天(三十三天) トウリテン 千歳
四王天 シテンノウテン 五百歳

閻浮提の五十年が天上の一日一夜に相当する。
他化自在天の上
梵身天の下、其の中間に天魔波旬(ハジュン)の諸天宮殿が存在する。
 


参考文献
起世経・正法念処経・法苑珠林・婆沙論

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